この外苑で、まず目を奪われるのが**イチョウ並木**でしょう。表参道から絵画館に向かって伸びるこの並木道は、約300メートルにわたり146本のイチョウが植えられています。秋が深まると、鮮やかな黄金色に染まり、まるで金色のトンネルを歩いているかのような幻想的な体験ができます。葉が舞い落ちる頃には、地面を埋め尽くす「黄金の絨毯」となり、多くの写真愛好家やカップルで賑わいます。イチョウは、その歴史の古さから「生きた化石」とも呼ばれ、生命力の強さと雄大さを感じさせます。外苑のイチョウ並木は、まさに日本の秋を代表する風景の一つと言えるでしょう。
次に、秋の代名詞とも言えるのが**モミジ**です。外苑の園内には、イチョウとは異なる趣で、燃えるような赤色に染まるモミジの木々が点在しています。特に池の周辺や散策路沿いに植えられたモミジは、青い空とのコントラストや水面に映る姿が息をのむほど美しいです。モミジは、その葉の形がカエルの手に似ていることから「カエデ」とも呼ばれ、日本人にとって古くから愛されてきた紅葉の代表格です。繊細で深みのある赤色は、見る人の心に静けさと感動を与え、日本の侘び寂びの美意識を体現しているかのようです。
そして、モミジと並んで秋の彩りを豊かにしてくれるのが**トウカエデ**です。中国原産のこのカエデは、モミジに比べて葉がやや丸みを帯びており、掌を広げたような形が特徴です。紅葉すると、赤色から橙色、そして黄色へとグラデーションを見せ、モミジとはまた違った温かみのある色合いで外苑を彩ります。特に日当たりの良い場所では、鮮やかな発色を見せ、訪れる人々の目を楽しませます。トウカエデは、その丈夫さから街路樹としてもよく利用されますが、明治神宮外苑では、イチョウやモミジとの共演により、秋の風景に一層の奥行きと多様な色彩を加えています。
明治神宮外苑は、イチョウの力強い黄金色、モミジの繊細な深紅、そしてトウカエデの温かみのある橙色と、それぞれの樹木が持つ独自の美しさを一度に堪能できる、まさに紅葉の宝庫です。都心でありながらこれほどの自然美を味わえる場所は他に類を見ません。秋の深まりとともに移り変わる木々の表情は、何度訪れても新しい発見と感動を与えてくれるでしょう。ぜひ一度、明治神宮外苑を訪れて、この素晴らしい紅葉の饗宴を五感で体験してみてください。美しい景色はきっと、あなたの心に深い安らぎと感動をもたらしてくれるはずです。